???b?O??

原発の利権構造について軽くまとめてみた

このページは兄貴から特別編集委員を拝命した太郎がお届けします。

原子力はまだ不完全なテクノロジーであるにもかかわらず、「安全だ」と嘘をついてまで沢山の原発をつくってきたのは、利権構造という推進装置があったからだ。
(いかに不完全なテクノロジーであるかについては、また別の機会に)

1.電力会社の地域独占

日本の電力事情は、地域ごとに担当の電力会社があって、競合しない。
電気を買う側の住民には電力会社を選ぶ選択肢は無いのだ。

電力会社側としては、その地域独占を崩されたくない。
競争相手がなく、確実に需要のある市場はどんなにおいしいことだろう・・・
発電と送電を一体化し、あの手この手でそれを維持してきた。

2.行政も:経済産業省(天下り)

電力会社は独占状態を守ってもらうために、経済産業省の意向を汲む。天下りをどんどん受け入れる。
経済産業省が『原子力政策』だ!と言えば、安全性に心配があっても原発をどんどん作る。

経済産業省も『原子力政策』のもと、原子力、核、放射線と名前の付いた公益法人独立行政法人などを沢山作って天下り先を確保。そこにお金を上手く回して天下りさせてきた。
後任も、代々前任者のやってきたことを否定できずに踏襲して来た。

電力会社も広告宣伝費で、これらの法人に協力金を撒いてきた。

原子力の安全性を監視する立場、独占状態を取り締まる立場の省庁が『原子力政策』を蓑にして完全に癒着しているのだ。

今何かとよく出てくる「原子力安全・保安院」は安全確保を使命とする国の機関といいつつ、『原子力政策』を推進する立場の経済産業省内にある
普通の感覚ならあり得ない。癒着してチェックが甘くなって当然だ。
毎年、各原発でそれぞれ数十件のトラブルやトラブル隠しがあるのに大きく取り沙汰されない、隠ぺい体質はここに起因するところが大きい。
もちろん大スポンサーに逆らえないマスコミにもその一因はある。

3.政治も

自民党も電力会社から献金を受け、パーティ券を買ってもらった。
民主党は電力会社の労働組合に集めてもらっている。

どちらも電力会社に強い立場がとれない。骨抜きにされているのだ。

4.研究者も

原子力関連の学会も電力会社から研究開発費をもらい、就職先を用意してもらってきた。
さらに政府の意向に沿った発言をしていると、審議会のメンバーに入れてもらえる。
国(原子力政策)からの研究費も言わずと知れたことだ。

逆に異を唱えると冷遇されてしまうのだ。
(下掲の「異端の研究者たち」参照)

5.マスコミも

マスコミは広告宣伝費をたくさんもらっているので、電力会社の批判はしない。
電力会社が力を入れちゃっている原子力政策の批判もできない。

電力会社や関連会社(7.参照)はTVや新聞などの大スポンサーなのだ。

だから原子力に反対する声を取り上げることは滅多にない。
珍しくまともに反原発の声を取り上げて痛い目にあったMBSの例を下に載せた。

唯一国民がスポンサーのNHKも反原発=反体制の報道は避けていたのだろうか?

6.地元も

補助金・交付金が地域を腐らせる。
原発着工が決まったら、補助金・交付金が行き渡り、箱物行政がはじまり、地域に不相応なゆがんだ町になっていく。

利権に群がる者が有力者になり、反対派はムラハチ状態にされる。

7.メーカーも

電力会社から受注して原発を製造しているメーカーも、当然、大口顧客である電力会社の意向をくむ。
東芝や三菱など世の中に影響力の強い大企業ばかりだ。
1988年、忌野清志郎のRC サクセションが「カバーズ」という、全曲洋楽ヒット曲をカバーしたアルバムを製作し、8月6日の原爆の日に合わせて発売する予定だった。しかし彼らの所属する大手レコード会社、東芝EMIから発売を拒まれて発売中止になった。それは原子力発電所を非難する曲が収録されていたためである。東芝といえば原子力発電所建設に関わる大手会社。
最終的にそのアルバムは別のレーベルからバンド名まで変えて終戦記念日に発売されることになった。

他にも建設を請け負うゼネコン、電力会社への融資で絡む銀行までがこの仲間になっている。

迫害の実例:MBS 2008年

MBSは2008年、京大原子炉実験所で、反原発を唱えている学者さん2人(小出裕章さん、今中哲二さん)を追ったドキュメンタリーを放映した。
すると電力会社からモーレツな抗議が来て、一時期スポンサーを降りられたという。
スタッフのクビは大丈夫だっただろうか?



なぜ警告を続けるのか〜京大原子炉実験所・”異端”の研究者たち〜49:50大阪府熊取町にある京都大学原子炉実験所。ここに脱原発の立場から活動を続けている”異端”の研究者たちがいる。原子力はわが国の総発電電力量の3割を供給するまでになったが、反面、去年の中越沖地震で柏崎刈羽原発が「想定」を上回る激しい揺れで被災するなど、技術的な課題を完全には克服出来ていない。番組では、国策である原子力推進に異を唱え、原子力の抱えるリスクについて長年、警告を発し続けてきた彼らの姿を追う。その言葉はエネルギーの大量消費を享受する私たち国民一人ひとりへの問いかけでもある。

まとめ

我々国民が選んだ、当時の国の代表たる自民党政権が「原子力政策」を打ち出してから、こうして利権構造の歯車は回りだし、利権に群がる者たちにより推進され、止めることが出来なくなったのである。
原発利益共同体」という言葉も生まれつつある。

そして、今回起きた福島第一原発の事故。
被害者にとっては非常に痛ましいことではあるが、逆に言えばこの利権の歯車を止める千載一遇のチャンスなのかも知れない。
皆が冷静になって考え直せる時がやってきたのだ。

今ならマスコミだって気兼ねなく報道できる。
こんな一市民より、もっと根の深いところまでしっかり調べて白日の下にさらしてほしい。


東電のプール金

東電には高い電気料金から得た利益の中から、原発の新設や、その周囲に配る金、原発の研究費等の名目で数兆円(4兆とも言われる)のプール金があると言われている。
しかし、本来の目的が白紙になっていないから、という理由で賠償に回さないのではないかと見ている。
(本来の目的=原発の新設予算や、その周囲に配る金、原発の研究費等)
この期に及んでまだ原発作る気かい?

何とも利権構造の凄さを感じる金額だが、
どれだけ迷惑をかけているのか、まず何をすべきか、東電にも加害者としての責務を果たしていただきたい。


なぜ、電気料金が高いか

独占状態と法律によって高い電気料金が生まれる

電力会社は競争相手がいないので、電気料金を安くしようという企業努力をしない。
逆に、電気の製造コストを高くすると儲けが大きくなる仕組みになっている。

電気の製造コストに一定の割合で利益を載せて徴収することが国から認められているからだ。
確か3%だったと思うが、たとえば単位あたり1000円の製造コストの電気を売ったとすると1030円請求できる。この場合、30円の利益だ。
だがもし、単位あたり倍の2000円の製造コストをかければ、2060円請求できることになり、同じ量の電気を売っても60円(倍)の利益を生む。

水源の森を護ろうとか、尾瀬の自然保護をとか言っている様々な電力会社の活動も全て電気の生産コストを上げるための策か?という気にさえなる。

こういう仕組みになっているから、徐々に高い電気料金になっていくのは当然のこと。

このある意味不当なほどの電力会社の利益も、原発利権の大きな動力源である。

なぜ独占状態が許されているか、その必然性

発電と送電を一体化し、独占状態にしてでも国民が受けられる利益は何か?
安定供給も競争の中で軽視されることはないだろうし、
私の知るところ、僻地への電力供給ぐらいしか思いつかない。

日本では隣の家まで何kmもあるド田舎に住んでいても、電気がほしいと言えば、電力会社がそこまで何本も電柱を建てて電気がやってくる。電気料金は住宅密集地と同じだ。

これは素晴らしいことだが、それぐらいしか国民の利益を感じられない。

この程度のことなら政策ででどうにでも出来るだろうし、国民の利益を考えたら、まずこの独占状態を解体し、競争原理を電力市場にもたらすことを政府には期待する。

まずは送電と発電を分離させ、送電はインフラとしてより公的に、発電には多くの企業に参加してもらいましょう。

原爆を受けた国として

原爆を投下された国は世界にただ1つ、この日本だけだ。
核物質が危険な物であることは国民誰もが知っている。
本来なら核や原子力について一番警鐘を鳴らすべき国である。

その日本がこの有様…

54基もの原発をつくり、それぞれの中では毎日広島型原爆およそ3発分ものウランが燃やされている。(全体では150発分?)
原発はウラン燃料を継ぎ足して燃やすわけではない。
数年分入れておくので、それぞれに原爆数千発分のウランがあり、全体では原爆何万発分になるか…が炉の中でアツアツ状態になっている。
そして、捨て場の無い核のゴミを大量に生産し続けている。
使用済み燃料棒のプールもすでに一杯の状態だ。

ウランを燃やすと、一部はプルトニウムになる。
日本にあるプルトニウムはすでに40トン以上だ。
プルサーマルや再処理燃料とも言われるが、実情は高速増殖炉が頓挫した今となっては、これもただの捨て場の無い核のゴミになりつつある。

あるいは、核武装を疑われる元になってしまう。
北朝鮮がプルトニウムを数十キロ持っていると大騒ぎしていたが、その千倍ものプルトニウムを保有している日本を世界はどう思うのか?

2030年までに原発をあと14基増やしていく計画もあったりしたが…

もうやめようじゃないか原発は、日本には凄い資源があるのだから(地熱発電に続く)
2011/5/28 太郎

続編:地熱資源大国日本の地熱発電

外羅から、太郎ちゃんへ

外羅の言いたかったことを、よくぞここまでまとめてくれた。
ビデオ映像ははじめてみた。
小出裕章大兄は、外羅の戯言「30A」「20A」なんてもんじゃない。
生き方そのもが、凄げぇんだ。

昔の友人のことを思い出した。
なまえはO君、映像制作会社の雇われ社長兼プロデューサーだった。
「原発は、廉価で安全也」との広報番組(ビデオ映像)を専門につくっていた。
電力会社や業界団体などがスポンサーで会社繁盛した。映像は、テレビにも頻繁に流された。
O君から、原発のことはさんざん聴いた、「安全ではない」ことを。
彼は、勉強した、安全ではないことを確信した。
でも、「安全だ!!という映像」をつくる自身の仕事について多いに悩んだ。
結果、良心に逆ってまで映像をつくりつづけることはできない!!と、机を蹴った。
20年以上まえのことだ。
今は、どうしているのだろう。

すべてのエネルギー。石油、石炭、天然ガスは勿論、あらゆる動植物がこの小さな☆地球で生きていけるのは、すべてお天道さまのおかげなんだ。
お天道さまに逆らうことなんてことしたら、きっと、バチがあたると思うがどうだろうか。

国、国民、世界中のひとびとが立ち止まって考える機会を与えられたのではないだろうか。
今回の、東電・福島第一原発の放射性物質撒き散し事件を禍福転じる機会としようではないか。

科学は、全ての人びとの幸福の実現のためにのみ存在するのであって、一部の者の一時的な利権や利益になってはならないのだ。

(2011/05/29)
2011/07/07一部改
外羅

Copyright © 2011- BUKOGERA & TAROW All Rights Reserved.